【構造力学Ⅱ】ひずみとひずみ度
ひずみとひずみ度とは
皆さんは「ひずみ」と聞いてどのようなものをイメージしますか?
一般的に考えたら形の歪みであったり、ズレみたいなイメージではないでしょうか。
もちろんその意味のありますが建築用語としての『ひずみ』の意味とは部材を伸ばした時に、元の長さから伸びた分の長さのことです。
また元の長さあたりにどれくらい伸びたかを表す言葉を『ひずみ度』とも言います。
ではひずみ度を求めるための公式をご覧ください。

ひずみ度を求めるためにはひずみδ(伸びた長さ)をもとの長さlで割ります。
ひずみ度の単位がないことに気が付きましたか?
当然のことですが元の長さLとひずみはどちらも長さで単位はmやmmです。
長さを長さで割るわけですから単位は打ち消し合い、なくなります。
構造力学においては単位はとても重要です。
ひずみ度においては「単位がない」という単位だと思ってください。
ひずみ度は単位がありませんが、×100をして%で表すこともあります。
少しひずみ度について考えてみましょう。
たとえば、
40mのひもAと2mのひもBがあるとします。
40mのひもAを伸ばすと20mm伸び、1mのひもBを伸ばすと1mm伸びたとします。
ここで単純に伸びた量だけを比較すると20mmと1mmで、20mm伸びた40mのひもAの方が良く伸びるひもだと直感的に思ってしまうことがあります。
しかし2つのひものひずみ度を計算してみると
ひもA: 20㎜ / 40000㎜ = 0.0005
ひもB: 1㎜ / 2000㎜ = 0.0005
ひもA 、ひもBともにひずみ度は等しくなります。
つまりこの二つのひもは同じ伸び率だと言えます。
このように計算を通すことによって直感と異なった結果になることがありますので注意してくださいね。
ひずみ度計算
では例題を解いてみましょう。
問題:長さ1mの棒があります。この棒を引っ張って5mm伸ばした時のひずみ度を求めなさい。

ポイント:単位をそろえる。
今回の問題ではm(メートル)とmm(ミリメートル)という単位が出てきました。
単位は統一しなければ間違えてしまうので気を付けましょう!!
解答:棒の元の長さl 1m=1000㎜
伸びた長さδ 5mm
ひずみ度εを求めると
ε=5mm / 1000㎜=0.005
解. 0.005 または 0.5%
まとめ
ひずみ δ(デルタ)…部材が元の長さから伸びた長さ
ひずみ度 ε(イプシロン)…元の長さに対する伸びた分の割合