【構造力学Ⅱ】座屈の基本① ~座屈の意味、座屈の種類~
今回から『座屈』について学んでいきましょう。
建築に触れているときっと聞いたことのある用語だと思います。
建築物にとって座屈が生じてしまうことは重大なダメージにつながってしまいます。
だからこそ特に構造分野に興味がある建築学生はよく学習する必要があるんです。
では詳しく見ていきましょう。
座屈って何?
まず初めに座屈の意味について解説していきます。
座屈とは『棒状の部材に対して両端から圧縮力を加えると、部材が弓なりに曲がる現象』のことです。

座屈は薄くて細長い部材ほど発生しやすくなります。
座屈が生じるときの圧縮力のことを座屈荷重と言います。
また、座屈後の部材の長さのことをもとの部材の長さに対して、座屈長さと言います。
座屈荷重や座屈長さに関しては「座屈の基本② ~座屈荷重の求め方、支持支点による座屈長さ、座屈荷重の違い~」で詳しく解説しています。
また、部材に座屈が生じてしまうとその部材がもっていた本来の強度も急激に低下してしまいます。
この現象が実際の建築物に起こったらと考えるとぞっとしますよね。
ポイント①
座屈とは、部材に圧縮力が加わることで弓なりに変形すること。
細長かったり、薄い部材は座屈が発生しやすい。
座屈が生じると部材の強度が急激に低下する。
座屈の種類
さて、座屈の基本的な意味、特徴については簡単に理解できたと思います。
次は座屈の種類について学んでいきましょう。
座屈にもどのように変形するかによって何種類かに分かれます。
今回は代表的な座屈の種類である①弾性座屈、②非弾性座屈、③局部座屈、④横座屈について解説していきます。
弾性座屈(オイラー座屈)
弾性座屈は座屈の中で基本的なものと言えます。
弾性座屈とは部材の強さの限界範囲内での座屈のことです。
元の形に戻ることができる座屈、つまり許容範囲内で起こる座屈のことを言います。
例えば定規に軽く力を加えて曲げても力を抜くと元の形に戻ります。(弾性座屈の状態)
非弾性座屈
非弾性座屈とは弾性座屈に対して部材の強さの許容範囲を超えてしまう座屈のことです。
つまり元の形に戻ることができなくなってしまう座屈のことです。
あくまでイメージですが、定規に軽く力を加えて曲げても力を抜くと元の形に戻ります。(弾性座屈の状態)
しかし力を加えすぎるとさすがに定規も折れてしまいます。(非弾性座屈の状態)
非弾性座屈は
局部座屈
次は局部座屈です。
局部座屈とは、板厚が薄い部材に圧縮力が加わり局部的にしわが寄るように変形してしまう座屈のことです。

この局部座屈は、部材が曲がるというよりもクシャッと部材が変形してしまうんですね。
横座屈
最後に横座屈についてです。
横座屈とは下図のようなH鋼に力が加わると圧縮力を受ける下側のフランジが水平方向に力を受けてズレ動くような変形をしてしまう座屈のことです。

ポイント②
座屈の種類
① 弾性座屈(オイラー座屈)
② 非弾性座屈
③ 局部座屈
④ 横座屈
いかがだったでしょうか。
一口に座屈と言っても様々な種類があるのです。
建築に携わる者としてこれらの座屈は大まかに知っておくとよいでしょう。