【構造力学Ⅱ】座屈の基本② ~座屈荷重の求め方、支持支点による座屈長さ、座屈荷重の違い~
今回は座屈長さと座屈荷重について詳しく学んでいきましょう。
座屈荷重の計算は構造力学のテスト等でよく出てきます。
ルールをつかめば簡単に理解できると思います。
頑張っていきましょう!!
座屈荷重の求め方
「【構造力学Ⅱ】座屈の基本① ~座屈の意味、座屈の種類~」では座屈が生じる際には圧縮力が加わっており、その圧縮力のことを『座屈荷重』ということを学びました。
今回はその座屈荷重の求め方について学んでいきます。
まず初めに座屈荷重を求めるため公式を見ていきましょう。

この式を使うことで簡単に座屈荷重を求めることができます。
この式から
座屈荷重は『円周率』と『曲げ剛性』に比例し、『座屈長さの2乗』に反比例することが分かります。
座屈の基本で、細く長い部材ほど座屈しやすいというものがありましたね。
この式を見れば、座屈長さが長いと座屈荷重が小さくなることが分かります。
座屈荷重とは部材が座屈するときの圧縮力のことでした。
つまり座屈長さが長いと小さな力でも座屈してしまうことを意味します。
この公式に至るまでの考え方はまた今度解説していきたいと思います。
支持支点ごとの座屈長さと座屈荷重の説明
座屈長さとは部材が座屈した際の長さのことです。
結論から話すと、座屈前の元の長さを1とすると座屈長さは1、0.5、0.7、2のいずれかになります。
そしてその座屈長さを用いて座屈荷重を計算していきます。
座屈荷重を求める公式の分母に座屈長さがありますよね。
つまり座屈長さが求められないと、おのずと座屈荷重も求められません。
ですので座屈長さを正しく導き出すことはとても重要なことなのです。
座屈長さを正しく導き出すポイントをいくつか紹介していきます。
まず大前提として、座屈長さを求める際は変形後を正しくイメージできるようになる必要があります。
どのような変形になるかイメージするためのポイントを3つ紹介していきます。
座屈長さを求めるためのポイント
① 両端の支持支点に着目する。
② 水平方向に拘束が無い場合は水平方向にずらす。
③ 支持支点が固定端の場合、固定部分は必ず90度にする。
これらのポイントをしっかり押さえてくださいね。
ポイント①
座屈長さを求めるために最も重要なことは変形後のイメージ!
座屈長さを求めるためのポイント
① 両端の支持支点に着目する。
② 水平方向に拘束が無い場合は水平方向にずらす。
③ 支持条件が固定端の場合、固定部分は必ず90度にする。
支持条件ごとの座屈長さ
では実際にどのような変形になるか見ていきましょう。
下図の部材をご覧ください。
何度も言いますがこれらの部材がどのように変形していくのか正しくイメージできるかどうかが最も重要です。
少し考えてから下へスクロールしてください!!
座屈長さを求めるためのポイント
① 両端の支持条件に着目する。
② 水平方向に拘束が無い場合は水平方向にずらす。
③ 支持条件が固定端の場合、固定部分は必ず90度にする。

どのような変形になるかイメージできましたか?
では答えをご覧ください。

先ほど紹介したポイントを意識しながら確認してくださいね。
元の部材の長さがlですので座屈長さはl、0.5l、0.7l、2l のいずれかになります。
何度も似たような問題を解いて慣れていきましょう!!
支持条件ごとの座屈荷重
座屈長さが求まったところで最後に座屈荷重を求めていきます。
座屈荷重を求める作業は先ほど求めた座屈長さを座屈荷重を求める公式に代入するだけなのでとても簡単です。
今回の部材の曲げ剛性はEIとします。





このようになります。
座屈長さと座屈荷重を求める考え方、計算はとてもシンプルなものですので練習問題等を何度も繰り返して慣れていってくださいね!!