【構造力学Ⅱ】座屈計算② ~座屈荷重を求める~ 

前回同様、今回も座屈荷重を求めていきましょう。
今回はラーメン構造の構造物の座屈荷重を求めていきましょう。

ここで座屈荷重を求めていく流れをおさらいしましょう。

座屈荷重を求めるステップ

支点を確認する。
②構造物の変形後をかく。
座屈長さをまず求める。
座屈荷重公式に座屈長さを代入する。

この4つのステップに沿って座屈荷重を求めていきます。

一応座屈荷重を求める公式も確認しておきましょう。

ではさっそく問題に取り組んでいきましょう。

問題①

まずは下図の2つの構造物の座屈荷重を求めていきましょう。
今回の構造物は2本の柱と梁から構成されています。
柱の曲げ剛性はEI、梁の曲げ剛性は無限大とします。

①支点を確認する

では次に支点を確認していきましょう

左側の構造物:左右の柱ともに上下固定端となっています。
右側の構造物:左右の柱ともに上が固定端、下がピン支点となっています。

②変形を正しくイメージする

では次に変形後をイメージしていきます。
何度も言いますが変形後が正しくイメージできるかがこの問題を解くカギとなります。

少し考えてから答えを見てください。

今回の構造物はこのように変形していきます。
上図では右側に傾くように変形させていますが、左側に傾くように変形させてもよいです。
どっちに変形させるかはあなた次第です。

③座屈長さを求める④座屈荷重の公式に代入する

最後に変形後から座屈長さを読み取って、座屈荷重の公式に代入していきます。

問題②

次に下図の2つの構造物の座屈荷重を求めていきましょう。
柱の曲げ剛性はEI、梁の曲げ剛性は無限大とします。

今回の問題における特徴は梁の部分にピン支点があり、構造物の水平移動が拘束されている点です。
この特徴を意識しながら変形後をイメージしていきましょう。

①支点を確認する

では次に支点の確認をしていきます。

右側の構造物:左右の柱ともに上下固定端となっています。
左側の構造物:左右の柱ともに上が固定端、下がピン支点となっています。

②変形後を正しくイメージする

今回の構造物は水平方向に拘束がありました。

変形は下図の通りになります。

③座屈長さを求める④座屈荷重の公式に代入する

最後に変形後から座屈長さを読み取って、座屈荷重の公式に代入していきます。

問題③

最後に下図の2つの構造物の座屈荷重を求めていきましょう。
柱の曲げ剛性はEI、梁の曲げ剛性は無限大とします。

今回の構造物には筋かい(トレース)があります。
この筋かい(トレース)によって構造物は水平方向の拘束を受けます。

①支点を確認する

では次に支点の確認をしていきます。

右側の構造物:左右の柱ともに上下固定端となっています。
左側の構造物:左右の柱ともに上が固定端、下がピン支点となっています。

②変形後を正しくイメージする

今回の構造物には水平方向に拘束がありました。

では変形後を見てみましょう。

③座屈長さを求める④座屈荷重の公式に代入する

最後に変形後から座屈長さを読み取って、座屈荷重の公式に代入していきます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
いかに構造物の変形後を正しくイメージができるかが重要になるか分かっていただけたと思います。

ちなみに②の問題と③の問題はともに水平方向に拘束があり、座屈荷重も同じ数値になりました。
つまり、梁を拘束するピン支点と、筋かい(トレース)は同じ役割を果たします。

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